ウェルネストホーム九州 営業チーム
晩秋~初冬にかけての季節は秋晴れなどというように好天にも恵まれやすく、気温や湿度も快適で過ごしやすい季節なので何か趣味をするにはとても向いている季節です。
私にとっての趣味は野山の散策や植物の観察なのですが、この季節は雑草のような下草も少ないので目的の植物を探すにも優れた季節になります。
ということで自然を満喫する旅第一弾として屋久島に縄文杉を見に行ってまいりました。(ちなみに第二弾は二週間後に公開予定です)
さらにただの趣味の旅行というだけではありません。
弊社にとって木材としてのスギというのはここだけでは書ききれないほどのこだわりがある大切な存在です。
九州でスギを使って仕事をさせていただいている立場として、太古の昔から九州の人々の生活を見守り続けてきた縄文杉に会いに行き、
感謝を伝えようという思いを込めて往復12時間にも及ぶ道のりを踏破してまいりました。
※本ブログは住宅のお役立ち情報ではなくあくまでもスタッフの旅行記です。
①縄文杉とか屋久杉って普通の杉とどう違うの?
屋久杉や縄文杉というと凄く長生きの特別なスギと思いがちですが、実は種類としては九州や本州に生えているスギと変わりません。
そんな普通のスギが何千年も生きるのには屋久島の環境が関係しています。
屋久島は自然豊かな島ですが、実は「土」と呼べる部分がとても少ないという特徴を持っています。
落ち葉による腐葉土と別の島からとんできた火山灰の土の層が僅かにあるだけで島の殆どは花崗岩という石でできています。
大木であろうとも土の中に根を伸ばすということができず、土からたくさん栄養を得るということもできません。
そのため屋久島に生えているスギは成長が遅く、遅いかわりに木目が密で詰まっています。
加えて屋久島は年間を通して雨が多く湿度も高く、カビや腐れが発生しやすい環境であるため、そこで育つ屋久島のスギの樹液にはカビや腐れを防ぐための樹脂成分が通常よりも多く含まれています。
これらのことが原因で通常だと長くても500年ほどしか持たないスギが屋久島の環境だとゆっくりではありますが、腐れずに育っていくため1000年、2000年と育ち続けるのだそうです。
その中でも1000年を超えて成長し続けたスギを敬意を込めて『屋久杉』と呼びます。
そして屋久杉と認定されると愛称が付くのですが、縄文時代(約16000年前~約3000年前)から生きていたとされるとある一本の巨大なスギにつけられた名前が『縄文杉』なんですね。
他には『翁杉』や『大王杉』や『夫婦杉』のような愛称がついた屋久杉が屋久島の森には生えています。
屋久杉に満たない1000年以下のスギは「小杉」と呼ばれるのですが、1000歳を超えないと「小」扱いというのが屋久島の自然の雄大さを感じますね!
ちなみに屋久島に観光に行くと様々な場所で木の小物や工芸品が販売されていますが、その多くは屋久杉でも小杉でもなく屋久島の人工の杉林を素材とした「地杉」になります。
今は屋久杉を直接伐採することはできないので、倒木や折れた枝の一部や昔伐採した屋久杉の切り株などを加工して屋久杉の加工品として販売している形ですね。
もし屋久杉のおみやげを買いたいと考えているときは少し注意しておくといいかもしれません。
根っこが岩の中に入れず岩の表面を這うように横に広がっているのがよく分かるかと思います。
左が屋久杉のストラップ、右側が一般的な杉の木目 木目の密度が違います。
②屋久島へ行こう!
屋久島に行く方法は飛行機か船の二択になりますが、福岡から行く分には飛行機が圧倒的に早くて楽です。
2019年11月現在ですと1日1便往復だけですが、福岡から飛び立って約一時間後には屋久島空港に到着いたします。
ジャンボジェットではなくプロペラ機ですが、この日は天気も良かったので快適な空の旅でした。
以前対馬に行ったときと同じようなプロペラ機
薩摩富士と名高い鹿児島県の開聞岳。錦江湾に沈む夕日と薩摩富士は絶景です。再来週のブログで夕日の綺麗な画像を紹介します。
③屋久島到着!~準備編~
今回の旅のスケジュールは至ってシンプル。
一日目と三日目は移動日で二日目が朝から晩まで縄文杉ツアーです。
二日目の宿出発が朝の4:30なので準備を終わらせて、食事やお酒もほどほどに早めに寝て英気を養います。
とはいえめったに来れない場所なのでなんだかんだ言いながら一日目も精一杯楽しみました。
外洋を望む砂浜。5月~6月ごろにはウミガメも産卵に来るようです。
島に生息する野生の哺乳類で頂点に位置するのがヤクザルとヤクシカです。運良く合うことができました。
④いざ出発!(登山口~ウィルソン株)
朝の3時半に起床し着替えと荷物の準備を持っていざ出発。
縄文杉登山の際は専用のバスに乗って登山口まで行く必要があるため最初はバスに揺られます。
5時過ぎに登山口に到着していざ出発です。
まだ周囲は暗い中での出発です。
全行程としては縄文杉まで8kmのトロッコ道と3kmの山道を往復するルートです。
このトロッコ道が曲者でもともと人が歩いて通ることを想定していないため橋を渡る場所に手すりがない場所も・・・((((;゚Д゚))))
とはいえ景色は抜群です!
今回のツアーは大変運がよく、雨もふらず気温も安定していてTシャツ一枚で歩いていて汗が出ないというとても快適でした。
徐々に朝日が登る木漏れ日と朝露がコラボして幻想的な光景の中縄文杉へと歩みを進めました。
8kmのトロッコ道が終わるといよいよ屋久杉の森へと本格的に入っていきます。
ここからが本番です!
⑤縄文杉まであと少し・・・(ウィルソン株~縄文杉)
山道を暫く行くと休憩ポイント兼名所であるウィルソン株に到着しました。
巨大な屋久杉の切り株がある場所なのですが中のとある一点から上を見上げるとハート型が浮かび上がるという「映え」スポットです。
ハート型が浮かび上がることもそうですが木の切り株の中に何人も人が入って写真を取ることができることに感動しました。
ここから縄文杉まで後一時間半のラストスパートです。
縄文杉、白谷雲水峡(もののけ姫の森のモデル)と並んでポスター採用率が高いハートです。
切り株の大きさがそもそも規格外!
⑥屋久杉ラッシュ
ウィルソン株を出発し、あとは縄文杉に向けて邁進するだけ・・・
と言いたいところですが実はここから先は縄文杉以外にもたくさんの屋久杉と出会えるエリアなのでなかなか目が話せません。
自然の雄大さをその身に感じながら歩みを進めます。
何千年も生きていると一回や二回は雷が落ちることもあるようで、そういったときにはこのような枝の伸ばし方をすることがあるそうです。
数ある屋久杉の中で唯一触ることができる「名無し」の屋久杉。名前がつくと触れないようになるので今のうちがチャンスかも・・・
⑥縄文杉とご対面
そして朝4:30の出発から実に7時間30分をかけてようやく縄文杉にたどり着きました。
縄文杉を見たときの最初の感想はただただ「感動」でした。
大きさへの感動、歴史への感動、自然の雄大さへの感動、完走できたことへの感動等いろいろな気持ちが混ざり合って未だに整理しても言葉には出てきません。
ただ間違いなく言えるのは写真や言葉だけでは伝えきれないモノを感じられるだけの力がありました。
この感動はおそらく現地でしか味わえない類のものですので是非一度機会があったら挑戦してみてください。
少し霧がかってまたもや幻想的な雰囲気に・・・。
縄文杉は直径5mを超えていて、切り株の面積だけで約12畳あります。
敬意と感謝の意を込めて一礼。
⑥帰り道~
縄文杉に感動し存分に満喫したのもつかの間、今度は帰路につかねばなりません。
日が暮れるまでに下山しなければならないので縄文杉の展望所を出発するのは13時までと決められています。
私達が出発したのは12時50分近かったのでその時点でもかなりギリギリです。
怪我しないように最新の注意をはらいつつも急いで下山しました。
下りでついつい急ぎがちですが、疲労も考え安全かつ素早い下山を目指します。
無事に怪我なく登山口まで帰ってこれました。
ということで趣味の秋第一弾の「縄文杉を見に行こう!」でした。
最初はただの趣味目的でしたが屋久島の自然と歴史や、スケールの大きさなども相まってとても充実した旅になりました。
今後はどんなときでも縄文杉が守ってくれると信じて、仕事にも励んでいきたいと思います。
第二弾は屋久島よりもさらに秘境とも言える鹿児島県南大隅町の絶景や珍しい植物をご紹介いたします。
完走した打ち上げで屋久島名物に舌鼓を打ちました。トビウオの素揚げ・・・美味でした。