前回の「設計が考える太陽光の最適化」の後編です。
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2019年問題とは、太陽光発電の余剰電力買取制度で設定された
10年間の固定価格での買取期間が初めて終わりを迎え、
スタート時点から電力を売電してきた世帯の契約が終了する最初の年が2019年という意味です。
では、一般的な11年目以降の対応を見てみましょう。
①大手電力会社・新電力と安い価格(10円以下)で売電契約を結び直す
②従来通り昼間の自家消費を行い、昼間の電気だけを使用する
③蓄電池等を設置し、余剰電力を蓄えて、発電できない夜間に使用する
ここで、いかに昼間の余剰電力を活用するかが重要になります。
また、これから新築される方で太陽光を採用される方は
10年後のためにやっておいたほうが良いことがありますので、あわせて説明します。
①自家消費と、②蓄電の2つのポイントに分けて説明します。
①自家消費
10年後は、いかに昼間の余剰電力を活用するかがポイントになります。
それは、A.エコキュートと、B.電気自動車(EV)を昼間の余剰電力での利用です。
ただ、それぞれ注意点があります。
A.エコキュート
はじめの10年間は、余剰電力を多く売ったほうが、メリットが大きいため
普段は夜間電力(単価が安い)を利用して、エコキュートに貯湯しています。
しかし、11年目以降はエコキュートの設定を変更し、昼間の余剰電力で貯湯したほうがメリットがあります。
ただし、天気が曇りや雨の日は、太陽光があまり発電しないので、
その日は、夜間電力での貯湯に切り替えたり、晴れている翌日に貯湯したほうがいいです。
天気を確認しながら、エコキュートの設定を変更するのは面倒という方には、このような商品もあります。
・AIソーラーチャージ機能
HEMSを通して、エコキュートとインターネットを接続することで、
天気などを考慮しながら、貯湯してくれます。
(パナソニックより引用)
新築時して10年間は、夜間電力での貯湯がメリットが大きいので、
11年目に、エコキュートの交換と合わせて検討してはいかがでしょうか?
B.電気自動車(EV)
現在は、EVスタンドなどのインフラがまだまだ整備されていないので
EVの普及は少ないですが、ガソリンに比べると電気利用のほうが圧倒的にコストメリットがありますので
街乗り程度のEV活用でしたら、太陽光の自家消費として採用してはいかがでしょうか?
こちらもHEMSを通してインターネット連携することで、
天気による太陽光発電量や、電気料金プランまで配慮したい場合の商品もありますので、ご気軽にお問い合わせください。
(パナソニックより引用)
②蓄電
大容量の太陽光を載せている場合、エコキュートやEVの自家消費をしても、
余剰電力が余ってしまう場合に検討したいのが蓄電です。
昼間たくさん発電して、余った電力を蓄電して、
夜に使えば、金額が上がり続ける電気を少ししか買わなくていいかもしれません。
蓄電と言えば蓄電池!と思われがちですが、それ以外にも蓄電システムがありますので、ご紹介します。
A.蓄電池
まずは蓄電池です。各社様々な蓄電池を販売していますが、
まだまだ初期コストが高いため、現時点ではおすすめしていません。
しかし、これから新築される方で将来、蓄電池を導入したいと考えている方もいるはずです。
ですが、最初の10年は必要ない…11年目には蓄電池が安くなってるかも…?
こればかりはわかりません。 ではどうしたらよいか?
蓄電池はシステムにもよりますが、停電時の場合、
家じゅうの照明コンセントを利用できるものと
照明やコンセントの数を限定して使うものがあります。
その場合、例えばダイニングの照明、テレビ、ダイニング近くのコンセント、冷蔵庫など
あらかじめコンセントごとの回路を分けておいたほうがいいです。
(パナソニックより引用)
通常の電気工事では細かい回路分けまで行わないのが一般的ですので
回路ごとのデータ管理や制御を行うためのHEMSを、新築時に導入して、
あらかじめ、回路分けを行っておくのもよいでしょう。
B.V2H
V2Hとは、Vehicle to Homeの略で「クルマ(Vehicle)から家(Home)へ」という意味があり、
電気自動車に蓄えられた電力を、家庭用に有効活用する考え方のことです。
簡単に説明すると、EVを蓄電池として活用するシステムです。
現在、日本ではニチコン、三菱、デンソーの三社しか導入していない新しいシステムです。
(三菱より引用)
先ほどまでお話ししていた家庭用蓄電池のためられる電気容量は、
5~10kWhが一般的です。
それに対し、V2Hですと日産リーフの最新型が62kWh、中古でも30kWhくらいはあるので、
個人的には、駐車場に余裕があるのであれば、中古のリーフにV2Hという選択肢は有効かと思います。
しかし、こちらもまだまだ高いので、新築時ではなく、
11年目以降に検討されたほうが良いと思います。
また、注意点ですが、V2Hはメンテナンス等の観点から、通常のEV充電が必要となる場合がありますので、
新築時にEV充電を1か所は設置しておいたほうがいいです!
いかがだったでしょうか?
前回の記事から太陽光の最適化、そして11年目以降のための設計とお話ししてきました。
ここ数年は、様々なシステムが発表されていますし、
11年後には想像できないシステムが当たり前になっているかもしれません。
これから新築を検討されるお客様は、ぜひ弊社の設計にお問い合わせください。
最新の情報をお伝えしつつ、現時点で最適なものをご提案いたします。
kiyohara